ヒトの眼球をクローズアップした。表面には、宇宙が映り込んでいる。奥に見えるのが虹彩。
目次
第43回 SSP展
『科学を楽しむ科学の眼 2022−2023』専門家の視点で驚きの写真表現
2022年7月1日〜7月7日
第43回SSP展によせて
第43回SSP展にお越しいただき、ありがとうございます。
日本自然科学写真協会(SSP)は1978年に創立された自然や科学に関する写真人の集まりです。自然と科学の広場に1本のクラブを打ち立て、親睦と情報交流の場を作り、写真文化の発展と向上をはかるというのが、創立以来の私たちの理念です。
現在の会員数は約350名、10代から80代までの多彩な会員を擁しています。
プロ写真家はもちろん、学生、研究者、教職員、写真関連の業界人、そして趣味で自然や科学の写真を撮るハイアマチュアの写真家も多数在籍しています。私たちは日々自然と向き合い、現場からの写真作品を通して、自然の美しさや素晴らしさ、科学する楽しさを伝えていきたいと思っています。自然科学のあらゆる分野の写真が一堂に会する写真展は、SSP展意外にはないと自負しております。
SSP展は、約1年をかけて全国9カ所で巡回展示予定です。昨年に引き続き、新型コロナウィルスの影響が続く困難な状況のなか、無事に開催にこぎつけることができました。これも会員及び関係者、ご来場いただく皆様のご支援のたまものと思います。
日本自然科学写真教会は自然を撮影している写真家に、楽しみながらも、科学的な目を持って撮影して行こうと提案しています。まずは皆さんも身近な自然を撮影してみませんか。自然の写真を撮り続けている方々のSSPへの入会も大歓迎です。
一般社団法人 日本自然科学写真教会(SSP)
会長 海野 和男
ミクロの世界
十勝岳温泉凌雲閣付近にて撮影。到着早々、天気予報に反して天候が悪くなり(風速2mを超えると壊れた結晶が多くなる)小一時間ほどで撤収。その間撮ることができた最も美しかったもの。気温−12℃ 湿度80%。
毎回撮っても飽き足らないビタミンCの再結晶。今回はデザイン的に面白い部分を撮る。
バニラ豆などに含まれる白色の結晶。甘い香りがあるのでアイスクリーム、ケーキなどに添加する。現在は主として合成された結晶が使われている。
ホヤの上に乗っているのはタルマワシだろうか。ホヤが吸入口から吸っているプランクトンをちゃっかりいただくつもりのようだ。ホヤにとっては迷惑なことだろう。
木漏れ日が降り注ぐ場所でエダナシツノホコリの群生を発見した。ここは海の中なのか?と目を疑うほどイソギンチャクの触手に似ている。透明感のあるその姿はずっと奥へ続いていて遠い海を感じさせてくれた。
虫の世界
アカエリトリバネアゲハの吸水集団を標準ズームに魚眼コンバーターを装着した画角約120度のセミ魚眼レンズで撮影。この後、海外取材には出られず、最後の海外での写真となった。
シジミシリーズ。上の写真は琵琶湖のウラナミシジミを竹生島が写る様に撮影した。コロナ禍になて琵琶湖岸は多くのレジャー客で溢れたが、ウラナミシジミは例年と同じ場所、時期に観察することができた。
SSP展 ラリーカミキリ 岸田 はるみ
初夏になると現れる10〜20mmほどの小型のカミキリ。成虫は昼間活動し、食草のイラクサやヤブマオ、アオイ科のムクゲ、フヨウなどの茎や葉をかじる。
SSP展 食事中のショウリョウバッタ 栗林 慧
ビデオカメラの4K動画より書き出した1コマ。イメージセンサーがわずか5ミリ角というミニカメラは、棒の先に付けて昆虫の目先まで近づけても相手を驚かさない利点がある。
SSP展 アカメガシワの花外蜜腺を訪れるアミメアリ 久保田 敏
アカメガシワの花外蜜腺にはいろいろな種類のアリが訪れる。花外蜜腺に誘引されたアリは、ガの幼虫などが葉を食害するのを防ぐのに役立っていると考えられている。
鳥の世界
SSP展 オオタカ 西川 博子
オオタカが森に帰ってきた。少しずつ木が伐採されて心配していたが、営巣から子育て、そして旅たちまで見守ることができるのは嬉しいことだ。
SSP展 はてな? 広畑 政己
大木の樹洞を住処とするアオバズク。7月中旬にはその樹洞で育った雛が巣立つ。居眠りしたり、あくびをしたり、顔を回転させたり、雛の表情を見ていると自然に自分の顔も綻んでくる。
SSP展 昼飛ぶフクロウ 水内 誠
1月の無風の日、午前11時、陽の光に目を細めて飛び、しっかりネズミを捕らえる。しかし昼間を支配するノスリやチョウゲンボウなどの猛禽達の執拗な攻撃を受けていた。「夜行性」の代表のように扱われるフクロウ。しかし「夜行性」にもグラデーションがありそうだ。
SSP展 銀世界 高橋 怜央
森に佇む一羽の蝦夷フクロウ。雪がちらつき始めたことに気づいてか、上を見上げた。
SSP展 ルリビタキの叫び 小林 健吾
散策中遠くから「ヒッ、ヒッ」と威嚇するような大きな鳴き声。近寄ると一羽がたくさんの虫を咥えており子育て中の様子。もう一羽の鳴き主が被写体だが、大声の理由をじっくり観察すればよかったと後悔している。
SSP展 トモエガモ 長澤 隆志
2021年は東京でもトモエガモが各所で飛来しているとのニュースがあり、自宅近所でも数羽確認することができた。池の対岸からなかなか動かず、距離があったがデジスコを使い超望遠撮影を試みた。
SSP展 イワツバメの巣材集め 原田 勲
巣材に泥を使うイワツバメは営巣期の春先には水場廻りに集まる。もとは山地や海外の岩場で営巣していたが近年は建造物で営巣するようになった。
SSP展 朝日を浴びて 八城 寛武
冬の寒い朝、干潟を訪れてみると、一本足になり朝日を浴びて休憩しているダイセンがいた。撮影していると一緒に眠りそうになる。とても穏やかで美しい朝だった。
SSP展 佐渡のウミネコ 今井田 秀子
「ミューミャー」と鳴く声が猫に似ているので和名がウミネコ。他のカモメとの違いは黄色い嘴の最先端が赤く黒帯があるところ。虹彩は淡く赤いアイリングがある。一夫一妻で繁殖。留鳥。
動物の世界
SSP展 美しい森を育てる構成員 内藤 誠
屋久島の猿が食べた果実の種は、美しい屋久島の森を豊かにさせる。鹿は猿を利用して猿の食べ残しを拾って食べる。森の清掃係でもある猿と鹿は、美しい屋久島の森を育てる貴重な構成員なのである。
SSP展 ソーシャルディスタンス 高橋 直輝
ニホンザルがスイレンの葉っぱを群れで食べているところを発見。杭があるところでそれぞれ座っているのが可愛らしい。地元の人によると近年問題になっているらしく、対策が練られているそうだ。
SSP展 興味津々 三上 豊
ニホンザルは生まれで1ヶ月ほどすると親の食べているものに興味を持ちはじめる。
SSP展 ニホンザル 親子 今井 寿雄
長野県の地獄谷猿公苑で写した、ニホンザルの親子。ニホンザルは山々の木々が芽吹く新緑の頃、出産シーズンを迎える。この小ザルは生まれて1週間、親から離れて遊びたい気持ちと、怖さもあり、まだ親にしっかりとしがみついている。
SSP展 白いエゾリスの食事 石井 栄一
白ヘビなどと同じ染色体異常で生まれた白いエゾリス。クルミをかじって中の身を食べようとしている。この写真は昨年3月のものだが、今年の冬には亡くなって会えなかった。5〜6年は生きていたようだが、もう会えないと思うと残念で仕方がない。
SSP展 巣材を集めるニホンリス 宇都宮 惠介
ニホンリス(ホンドリス)は樹上に鳥の巣のような球形の巣を作る。写真は、地面に転がる丸太から、器用に皮を剥いでいるところ。全身を使って皮を剥ぐ姿から重労働だと思う。
SSP展 シマウマを狙う雄チーター5匹の群れ 谷口 秦 之
本来チーターの雄は群れを作らないが、最近マサイマラに群れを作った雄の例が報告されている。まさに、そのチーター達がシマウマを狙う様子がシマウマ側から観察できた。
宇宙
SSP展 逆さ富士と天の川 諸岡 優
何回も通った精進湖。こんなに静かで風のない夜は初めてだった。雲ひとつない夏の夜、富士山の頭上に天の川、湖面にも富士と天の川。めったに見られない光景が目の前に。
SSP展 白昼の金星色 徳畑 裕司
2021年11月8日昼過ぎに観察された金星食。食が終わり、金星が離れていくところ。望遠鏡で見ると金星も三日月状であることがわかる。
SSP展 極光の舞 竹澤 恒雄
オーロラ帯にあるカナダのイエローナイフ郊外で3月中旬の深夜オーロラを撮影していた。午前2時20分頃、大空全体に激しく舞うオーロラの変化を魚眼レンズを真上に向けて撮影した一コマである。
SSP展 一期一会(レナード彗星) 筒井 健作
天候に恵まれずなかなか観察の機会がなかったレナード彗星だが、地球に最接近する前日の12月11日早朝。漸くその姿を水平線上に捉えることができた。この彗星は再び地球に近づくことのない軌道と言われており、その地球最接近の直前に出会えたのはまさに一期一会であった。
SSP展 オリオンの大星雲 和田 昌也
冬の代表的な星座、オリオン座の中心部付近にあるこの星雲は輝線星雲と反射星雲が混ざりあう星域だ。二次元の写真なのに、カラフルなその様は立体的に見えてしまうような錯覚を感じる。
SSP協会の皆様、貴重な写真をありがとうございました。他にも見どころな写真がありますのでご興味ある方は是非コンタクトしてみてください。
本日も最後までご愛読ありがとうございました。
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