オスカー・ムリーリョ(1986年コロンビア、ラ・パイラ生まれ)は絵画、ドローイング、版画、本、彫刻、映像、インスタレーション、ライブイベント、共同プロジェクトなど多様な手法を用いて作品を制作しています。彼の芸術活動は、国境を超えた人的ネットワークの構築と、異なる文化的・政治的な地理空間を絶え間なく行き来する自己の身体的感覚に基づいており、グローバル化が急速に進む現代社会におけるコミュニティの在り方を問い続けるものです。 本展では、10歳から16歳の子どもを対象にムリーリョと政治学者のクララ・デュブランが世界各地の学校で実施しているアート・プロジェクト「フリクエンシーズ(周波)」(2013年~)を発表します。本プロジェクトでは、数ヵ月間にわたり、学習机に張られたキャンバスに生徒が自由に思いついたことを描き、日々の痕跡を残していきます。思春期の子どもは大人へと成長する過程で、心と身体が大きく変化します。「周波」を意味するプロジェクト名のとおり、豊かに震える子どもたちの心のありようが、絵や言葉などの痕跡となり、机に張られたキャンバスに蓄積していきます。 本展では、2020年9月から東京都港区の小中学校で実施されている「フリクエンシーズ(周波)」の成果に加えて、コロンビア、インド、中国、米国、インドネシア、レバノン、ケニアの子供たちによるキャンバスと、ムリーリョの絵画作品を展示します。(森美術館)
MAM PROJECT
オスカー・ムリーリョは、1986年にコロンビに生まれ、幼少期に英国に移住しました。彼は多岐にわたる活動で、複雑化する国際社会に生きる人々の様態や、国境を超えたコミュニティーの在り方を探求します。絵画では、力動感あふれる筆跡を用い、異なる地理空間を絶え間なく移動する作家自身の身体的エネルギーを画面に定着させることを試みます。 本展では、ムリーリョと政治学者クララ・デュブランによるアートプロジェクト『フリクエンシーズ(周波)』とムリーリョの絵画《撹乱された周波》を展示します。前者では、学校の学習机に貼られたキャンパスに、数ヶ月間にわたり表現に限らず、無意識のうちに残された線や色、汚れさえも蓄積されます。
素晴らしいアート活動ですね。
『フリクエンシーズ(周波)』
本プロジェクトはこれまで30ヵ国以上で実施されており、国境を超えた若者の文化と各地域の学習環境を洞察することも可能です。今回、2020年秋から半年間、『フリクエンシーズ(周波)』は東京都港区の4校で行われ、キャンパスは校内の共有机か自宅でも使えるように画板に貼られ子供たちに渡されました。活気あふれる作品からほとぼしるのは、コロナ禍を生きる彼らの屈託のない表現です。本展では、東京での成果と他国で製作されたものをご紹介します。
コロナ禍に生きる日々の子供たちの気持ちの変化が蓄積されています。
《撹乱された周波》
《撹乱された周波》では、縫合された『フリクエンシーズ』のキャンパスの青や白の絵の具が重ねられ、押し寄せる水の奔流が表現されます。作家の即興的行為の残痕と、子供たちの集積されたエネルギーが拮抗するように共存しており、独自の緊張状態を生み出しています。
謝辞
本展の開催にあたり、多大なご協力をいただいたムリーリョ氏、ディブラン氏、マルタ・バリナ氏に心より御礼申し上げます。また、大変な社会状況の中、本プロジェクト実施を快諾していただいた青山中学校、笄小学校、南山小学校、東京インターナショナルスクールの皆様に心より感謝申し上げます。
主催 | 森美術館 |
企画 | 矢作 学(森美術館アシスタント・キュレーター) |
後援 | 駐日コロンビア共和国大使館 |
素晴らしい企画・運営でした。森美術館さま、矢作さま
ありがとうございました。
本展のための新作近
オスカー・ムリーリョ
1986年、コロンビア、ラ・パイラ生まれ。幼少期にロンドンに移住。現在は世界各地を拠点に活動している。2012年にロイヤル・カレッジ・オブ・アーツ修士課程修了。ニューヨーク近代美術館(2014-2015年)、コロンビア国立大学美術館(2015年)、ホワイトチャペル・ギャラリー(ロンドン、2017年)、ハウス・デア・クンスト(ミュンヘン、2017年)、ケンブリッジ大学ケトルズヤード(英国、2019年)、アスペン美術館(米国、コロラド州、2019年)、K11アート・ミュージアム(上海、2019年)、スイス・インスティテュート(ニューヨーク、2021年)などで作品を発表。第56回ベネチア・ビエンナーレ(2015年)、あいちトリエンナーレ2016(2016年)、第13回シャルジャ・ビエンナーレ(2017)などの国際展に参加。2019年、「ターナー賞」を他3名の作家と同時受賞。
クララ・デュブラン
同時開催
アナザー・エナジー展も同時開催していました。
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