皆さんはバンクシーをご存知でしょうか?私もこれまで詳しくはありませんでしたが、『バンクシーって誰?展』
で大分お勉強させていただきました。企画、運営された方々に感謝します。
バンクシーを知った喜びをありがとうございます!
さあ、ワクワクしながらバンクシーの魅力に迫りましょう!
バンクシーって誰?
自作に約1億5000万円の値がついた途端、仕込んでいたシュレッダーを作動させて作品を切り刻んだり、
コロナ禍のロンドンの地下室でくしゃみをするネズミを描き込んだり・・・。
自分の作品をきっかけに大騒ぎする人たちをあざ笑うかのように、ゲリラ的な表現活動を繰り返している
覆面アーティスト、バンクシー。イギリスのブリストルで少年時代を送ったと考えている彼は、
1990年代よりこの街を舞台にストリート・アートを描き始めた。2005ねん、メトロポリタン美術館や
大英博物館などの有名美術館に、許可なく自作を展示し始めた頃より広く知られるようになり、
きんねんは遊園地のプロデュースや映画の監督なども手がけている。移民や人権問題、消費社会への
警鐘など、政治的・社会的テーマを積極的に取り上げることでも知られるバンクシーは、SNSを積極的
に使った活動でますます注目されているグラフィティ・アート界のカリスマなのだ。
バンクシーの活動歴
時期 | 活動内容 | 場所 |
1990 | イギリス南西部の港町ブリストルで、グラフィティの活動を始めたとされる。 | ブリストル、イギリス Bristol,UK |
2002 | ロサンゼルスの33 1/3ギャラリーで個展「Existencilism」を開催。 | ロサンゼルス、アメリカ LosAngeles,USA |
2003 | ロンドンのとある倉庫で個展「Tuf War」(湾岸戦争=Guf Warのもじり。Tuf=「芝」や「敷地」の意)を予告無しに開催。スプレーペイントを体に施した牛、豚、羊などの家畜を展示したことで物議を醸した。1週間開催予定であったが、バンクシーに逮捕状が出されたことで、オープリングの3日間には閉鎖された。 | ロンドン、イギリス London,UK |
2005 | パレスチナの分離壁に作品を描く。ベツレヘム郊外に《Flower thrower》を書き残す | ベツレヘム、パレスチナ Bethehem,Palestine |
2005 | MoMA、メトロポリタン美術館などニューヨークの複数の美術館で、自身の作品を無断展示。 | ニューヨーク、アメリカ New York,USA |
2006 | ロサンゼルスの倉庫で大規模な展示会「Barely Legal」(「辛うじて合法」の意)を開催。全身にスプレーペイントを施したインド象を展示。3日間で3万人以上が来場した。 | ロサンゼルス、アメリカ LosAngeles,USA |
2008 | ロンドン、ウォータールー駅下の地下トンネルでストリート・アートの祭典「The Cans Festival」を開催。多数のグラフティ・アーティストが参加した。 | ブリストル、イギリス Bristol,UK |
2009 | 展示会「Banksy vs Bristol Museum」をブリストル市立博物館・美術館で予告無しに開催。100作品以上が展示された本展は過去最大規模で、12週間で30万人を動員した。 | ブリストル、イギリス Bristol,UK |
2010 | 初の監督映画『Exit Through the Gift Shop』がユタ州、サンダンス映画祭で上映。米アカデミー賞長編ドキュメンタリー映画賞にノミネート。 | ユタ州パークシティ、アメリカ Park City,Utah,USA |
2013 | 「Better Out Than In」と題した活動を1ヶ月間実行。ニューヨークで1日1点ストリート・アートを公開、その情報はバンクシー本人のSNSで告知された。 | ニューヨーク、アメリカ New York,USA |
2015 | イギリス南西部のウェストン=スーパー=メアに、テーマパーク「Dismaland」(Dismal=「不愉快な」、「陰鬱な」の意)を期間限定で出現させた。5週間で15万人が来場。 | ウェストン=スーパー=メア、イギリス Weston-super-Mare,UK |
2015 | フランス北部カレーの難民キャンプで、シリア難民の父を持つスティーブ・ジョブズ、《The Son of a Migrant from Syria》を描く | カレー、フランス Calais, France |
2016 | ロンドンのフランス大使館前に催涙ガスで涙を流している『レ・ミゼラブル』のコゼットとQRコードを描く。QRコードをスマートフォンで読み込むと、フランス警察が催涙ガスやゴム弾で難民を急襲している様子が撮影されたYouTubeの動画にリンクされた。 | ロンドン、イギリス London,UK |
2017 | パレスチナのベツへレムに「The Walld Off Hotel」をオープンさせる(Walled Off=「壁で隔たれた」の意で、ニューヨークの一流ホテルWaldorfのもじり。別名:世界一眺めの悪いホテル)。現在も営業中。 | ベツレヘム、パレスチナ Bethehem,Palestine |
イギリスとフランスを結ぶ港町ドーバーにて、ブレグジットを風刺した、欧州連合の星を削る作業員の姿を描く。 | ドーバー、イギリス Dover,UK | |
ロンドンのバービカン・センターで史上初のパレキア展が開催されたことを受け、会場近くに、バスキアへのオマージュを2点描く。 | ロンドン、イギリス London,UK | |
2018 | シュレッダー事件。ロンドンのサザビーズで、《Girl with Balloon》落札直後にバンクシーが額に仕込んだシュレッダーによって、さくひんの下部が裁断された。 | ロンドン、イギリス London,UK |
2019 | ロンドン郊外クロイドンにバンクシー初の公式ショップ「Gross Domestic Product(国内総生産)」が期間限定でオープン。店には実際には入店できずウィンドウ展示のみ。2週間後にクローズした後は、オンラインショップで展示作品を販売した。 | ロンドン、イギリス London,UK |
バンクシー展
ツアーに沿って案内します。ネタバレですが、やはり実際に見た方が何倍も感動しますよ。
世界巡回展「The Art of Banksy」の出品作品をベースに、日本側で再構築し、バンクシー作品に
加え、壁画の再現展示で構成されています。(ワクワクが止まりません!)
展示会各所に提示している説明文やカタログ(これもクールな出来栄えです)から引用させていただきました。
AaChoo!!(ハクション!!) エリア
約1年前(2020年12月10日)にバンクシーが新たな作品を発表した。
遠目に少女かな?と思いましたが、よく見るとスカーフをかぶったおばあさんが、腰をまげ、入れ歯も飛ばして
派手にくしゃみしている風景です。タイトルも日本語で「ハクション」という意味で「Aachoo!!」。
この絵が描かれたのは、バンクシーの故郷ブリストルにある急な坂道ヴェール・ストリート沿いの家。
傾斜が22度もある道を水平にすると、老婆のくしゃみで家が傾いたかのように見えるところも
バンクシーらしい遊び心のある作品ですが、最近の作品ということでお気づきの方もいらっしゃるかと
思いますが、コロナ禍でマスクを付けずに飛沫やウイルスを拡散することへの警鐘ですよね、きっと。
Girl with a Pierced Eardrum エリア
2014年に、ブリストルのレコーディング・スタジオの壁面にバンクシーが描いた”Girl with a Pierced Eardrum”は
訳すと鼓膜の破れた少女で有名なフェルメールの真珠の耳飾りの少女の耳飾りが警報器で代用したこの作品に、
2020年4月22日医療用マスクが付け加えられているが発見された。その後、バンクシーが医療従事者に感謝を
込めて作品を贈ったニュースが大々的に報じらましたが、この絵について本人の発表はなく、少女にマスクをかけた
のがバンクシーか?か定かではありませんが、時代に応じて変化する作品作りもバンクシーの狙いかもしれません。
ちなみに、原作はこちら。私も大好きな画家と作品で実物見たことありますが、小さいながらも輝きを放っていました。
真珠の耳飾りの少女
ヨハネス・フェルメール
- 1665 年
- 44.5 x 38.1 cm
Whitewashing Lascaux エリア
清掃員が消しているのはラスコーの壁画。旧石器時代の人が動物の姿を生き生きと洞窟の壁面に描いたグラフィックアート。
こんな貴重な作品も、現在は「非合法」ということで消される儚い運命だということを表現している
この作品は、2008年、バンクシーが、ウォータールー駅近くのトンネル内で行った「The Cans Festival
(ザ・カンズ・フェスティバル」で描いた作品。展示用として合法的に描かれた物だが、もうここ『バンクシー・トンネル』
を訪れたとしても見るこはできない。既に誰かの手によって消されてしまったから・・
グラフィティはまさに、路上で自由に変化を続ける、”生きた”アートなのだ。(名言ですね)
- 作成日: c. 1665 (digitized by Madpixel)
- 実際のサイズ: 44.5 x 38.1 cm
Whitewashing Lascaux
(The Cans Festival)
- 2008年
- London U K
Animal エリア
Laugh Now
- 2003年
- Screen paint paper
- Private Collection
反抗的なメッセージ「Laugh now,but one day we’ll be in charge(今は笑え。
しかし、いつかは我々が勝つ)を掲げる。
肩を落とした仏頂面のサル。サルはネズミと並んでバンクシーの作品に登場することの多い
モチーフだが、バンクシーはこのような動物たちに、社会風刺に満ちた自らのメッセージを
託している。
Barcode
- 2004年
- Screen paint paper
- Private Collection
Radar Rat (right facing)
- 2002年
- Screen paint canvas
- Private Collection
Love Rat
- 2004年
- Screen paint paper
- Private Collection
Gangsta Rat
- 2004年
- Screen paint canvas
- Private Collection
90年代からイギリス南西部ブリストルで活動していたバンクシーは2000年頃からロンドンに拠点を
移し、街中に大量のドブネズミ(ラット)を描き残す。
ステンシルアートの父と呼ばれるフランスのストリート・アーティスト、ブレック・ル・ラットに
影響を受けたとされるがバンクシーの描くネズミはより擬人化されている。
Les Miserables エリア
コゼットが泣いている!催涙ガスの煙に包まれて。
2016年1月、ロンドンの文豪ヴィクトル・ユーゴー原作のミュージカル『レ・ミゼラブル』の
ポスターを基にしたパロディ壁画。フランス、カレーの難民キャンプで催涙ガスが使用された
ことへの抗議として描かれた。左下には、スマホで読み込めば実際の映像が見られるQRコード。
『催涙ガスは使っていない』と言い張る仏警察に突きつけた動かぬ証拠だ。
今時のグラフティは、YouTubeにもアクセスできる!でも、今も見られるのかな?
レ・ミゼラブルを知りたい!って方はどうぞ中田さんのYouTubeで勉強することをお勧めします。
正直泣けました!
Better Out Than In エリア
2013年10月1日、突如始まったバンクシーの野外展覧会。印象派の画家セザンヌが家の中で描くより野外で描く方がいい
という言葉に影響された?「Better Out Than In」企画。
なんと1日に1作品ニューヨークのあらゆる街角に作品を披露し、自身のInstagramに投稿し始めた。
当然のことながら、その日から」ニューヨーク中の人々がSNSを駆使して、バンクシーの新作探しに熱狂。
作品を見つけて純粋に喜ぶ人たちが大半の中、中には作品に上書きするアンチの人や、販売目的で作品を
公然と持ち去る人も現れた。
バンクシーの作品をめぐる人々の感情を次々とあぶり出したこのプロジェクトについて
実際のスマホ画面で見ることができる。
Banksy(@banksy)Instagram公式アカウント:https://www.instagram.com/banksy/
実際に道路に設置されている消火栓を、ハンマーで叩き割ろうとしている少年のシルエット。
この作品は、「Better Out Than In」の20日目,アッパーウエストの建物の壁に描かれた。近くの食料品店
「ZABAR’S(ゼイバーズ)」の主人らに保護され、公開されている本作は、プロジェクト中、唯一完全
な形で残ったスプレー・アートで、現在も人気の撮影スポットとなっている。
所々に私たちの仲間が ”動くシルエット” としてお目見えするよ。
Banksy vs Bristol Museum
- 2009年
- Offset lithograph(Poster)
- 59.4×42cm
- Private Collection
Exit Through the Gift Shop
- 2010年
- 59.4×42cm
- Private Collection
Save or Delete
- 2002年
- Offset lithograph(Poster)
- 41.9×59.3cm
- Private Collection
Gas Mask Fly
- 2002年
- Spray paint on printed stamps on cardboard
- 101×101cm
- Private Collection
Di Faced Tenner×3
- 2004年
- Lithograph
- 7.6×14.3cm
- Private Collection
Americans Working Overhead
- 2004年
- Poster
- 42×29.6cm
- Private Collection
Forgive Us Our Trespasses
- 2010年
- Offset lithograph(Poster)
- 59.4×42cm
- Private Collection
Soup Can
- 2005年
- Screen print paper
- 49.4×35.2cm
- Private Collection
Tesco Bomb
- 2011年
- Offset lithograph(Poster)
- 50×40.2cm
- Private Collection
Weston-Super-Mare
- 2003年
- Screen print on paper
- 35×100cm
- Private Collection
Turf War
- 2003年
- Screen print on paper
- 50×34.9cm
- Private Collection
Barely Legal エリア
英語で「Elephant in the room(部屋に象がいる)」とは、「明白な問題について、誰も触れようとしない」
という意味。例えば、世界では貧困が蔓延しているというのに、結局誰も本気で救済しないじゃないか。
そんな皮肉を込めて、バンクシーは、本格的な海外進出となったアメリカでの個展で、本物のインド象を
会場で会場である倉庫の中に展示した。部屋の壁紙と同じ豪華なダマスク模様にペイントして。
「象を虐待している!」なんて批判されないように、動物に有害でないスプレー塗料を使用している。だから
個展のタイトルは、「Barely Legal(辛うじて合法)」。合法化、非合法かと、いつも問題になる自身の
グラフィティ行為にもかけている。オープニングにハリウッドのセレブたちも駆けつけたこの展示会には
3日間でなんと3万にん以上訪れた。
Monkey Parliament
- 2009年
- Offset lithograph(Poster)
- 53×84cm
- Private Collection
Morons
- 2007年
- Screen paint on paper
- 57.1×76.7cm
- Private Collection
Trolleys
- 2007年
- Screen paint on paper
- 57×76.5cm
- Private Collection
Sake Ends(v.2)
- 2007年
- Screen paint on paper
- 57.3×76.8cm
- Private Collection
It’s Called Advertising
- 2005年
- Spray paint on wood
- 44.1×58.1cm
- Private Collection
Congestion Charge
- 2004年
- Oil on canvas
- 69×79cm
- Paul Smith Collection
The Walled Off Hotel エリア
2017年、バンクシーがパレスチナ自治区のベツレヘム市内にオープンした「The Walled Off Hotel (壁で分断された
ホテル)」。イスラエル政府が築いた高さ8m、全長700kmにも及ぶ分離壁の目の前にあえて建つ、「世界一眺め
の悪いホテル」である。世間の目を少しでもパレスチナ問題に向けさせ、その不条理を実感してもらうためにつくられた
当ホテルは、内装もバンクシーや仲間のアーティストが担当した。部屋から見えるのは延々と続く分離壁と、様々な
人が描いたパレスチナ人隔離政策に対する講義や平和への願いを込めたグラフィティ。しかし本展では、バンクシー
作とみられる作品の一部をピックアップ。ある意味、「世界一眺めのいいホテル」となっている。
どうでしたでしょうか?バンクシー展。
後半もまだまだびっくりするエリアが目白押しですが、
東京は12月5日まで、開催されますので、この折角の機会に行ける方は
是非、本物を体感されることをお奨めます。
会期が過ぎましたら、後半の記事を書きたいと思います。
本日もご愛読ありがとうございました。
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