『北斎漫画』を含む『絵手本』とは、文字通り絵のお手本のことです。
当時、狩野派をはじめとする職業絵師になるためには、入門した師の肉筆の手本を模写し、徹底的に
画法を習得することが必要でした。その後、絵を愛好する一般の人たちや、他の工芸品(染織や漆工)
などの図案集として利用されるようになり、北斎は木版による手本を手がけるようになっていきました。
葛飾北斎
代表作に『富嶽三十六景』や『北斎漫画』があり、世界的にも著名な画家です。
森羅万象を描き、生涯3万点を超える作品を発表しました。若い時から意欲的であり、版画以外に、浮世絵にも
素晴らしい描写力を見ることができる。さらに読本・挿絵芸術に新しい軸を見出した『北斎漫画』を
始めとする絵本を多数発表。その後、海外のゴッホなどの印象派画家や工芸家や音楽家までも影響を与えた話は
有名です。絵に対する意欲は晩年も衰えず、銅版画やガラス絵へもトライしていたとのこと。残念ながら油絵にも
関心が高かったが、作品は残せなかったらしいですが、時代を超える天才であることには間違いありません。
書袋(しょたい)
書袋(しょたい)。または、『袋(ふくろ)』ともいう。版本販売時には、タイトル、版元名と印、
発行年などが記された特性の袋に入っていた。
三遍
漫然と描いた絵だから漫画とはよくいいますが、本そのものの構成は少しも『漫然』ではありました。
浜辺に打ち上げられたかのごとく腹を見せるアンコウのひょうきんさ、ヌメる体表の質感まで
再現している。食卓に乗る身近な魚たちだけでなく、クジラやワニザメなど迫力のある
魚もグロテスクに表現されている。
六編
武づくし。武運の神として日本中の武家から侵攻された八幡大菩薩から始まり、馬術、弓術、砲術、体術から
武具、馬具、馬そのものが登場する。
八編
松尾芭蕉のページもあり、日本各地の名勝地を描いている。
十三編
小さなモチーフを様々描いたページもあれば、見開きを使いダイナミックな構図を使う作品もみられる。
十四遍
本遍は北斎の没後まもなく刊行されたと推定されている。動物たちのどこか人間らしく愛らしい表情に目が離せなくなる。
十五遍
最終巻は北斎の没後から大分年月が経った明治11年に刊行となった。
一筆画譜
一度降ろした筆を上げることなく、一気に一画を描きあげて、淡い彩色を施した珍しい絵手本。
序文によると、名古屋を旅していた北斎が尾張の文人画家の『福善斎(ふくぜんさい)』の一筆画に感銘を受け
それが埋もれるのは惜しいと出版した。線と形で単純化しているが、モチーフの表情や動きを的確に表している
究極の草書体。
釈迦御一代図会
仏教の開祖 釈迦の生涯を描いた仏伝小説だが、オリジナルの絵柄もあるという。北斎86歳時の創作意欲に
ますます磨きがかかった意欲的な作品集となっている。
富嶽百景
二編
三編
効果線を描く
現在の漫画の元になったのでは?と思うほど、効果線(集中線)を駆使し、場面の臨場感や意図、スピードまでも
ストレートに表現する方法を発明していることに改めて非凡であることを見せつけられた。
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