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WELCOM TO THE FAIRYLANDーYANAGIMIWA,ODANI YOO SEUNGHO ,NAWA KOHEI
仙境へようこそーやなぎみわ、小谷元彦、ユ・スンホ、名和晃平
MORI ART MUSEUM 2022 6.29Wed-11.6 Sun
ごあいさつ
俗世を離れた山水画のような大自然の中で、不老不死の仙人が住むとされる仙境は、古来、理想郷の1つとされてきました。桃源郷、極楽、浄土、ユートピアといった概念にも近いといえるでしょう。コロナ禍以降は、都市空間から離れ、自然環境のなかで暮らすことも見直されていますが、その源流にはこうした理想郷への憧れがあるのかもしれません。本展では、私たちを仙境へと誘う4名のアーティストによる作品を紹介します。 ユ・スンホの山水画は中国の老荘思想を表現していますが、よく見ると極小の「多多」による集積で書かれています。擬声語がサインのような単語はグラフィティのように見え、同じ文字を繰り返し書くことは文字の練習やある種の修行のようでもあります。名和晃平の《PixCell-Kannon#7》は、インターネットを介して収集された観音像を透明の球体(セル)で覆うことで、モニター上に分割されたピクセルで映し出されるイメージの質感を表現したものです。仏教の信仰対象でありながら、商品となり得るという意味でも、この観音像は浄土と俗世を繋ぐ存在だといえるでしょう。また、小谷元彦の《ホロウ:全ての人の脳内を駆け抜けるもの》では、力や純潔の象徴であるユニコーンと少女が地上の重力から自由になり、亡霊のように浮遊しています。やなぎみわの《The Three Fates》では、若い陽性と年老いた妖精の写真が併置されます。若い妖精が老いたのか、年老いた要請が若返ったのか定かではありません。不老不死の仙人が住む桃源郷では、時間と共に進む老いや劣化という地球上の自然の節理からも自由でいられると考えられます。 さまざまなアーティストの作品を通して、現世から解放された自由な世界について想像してみましょう。 森美術館
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NAWA KOHEI 名和・晃平 1975年大阪府生まれ、京都府および東京都在住
PixCell-Kannon#7
名和晃平は、2000年代から、彫刻、インスタレーション、建築、写真など様々なメディアで発表を行い、京都で創作のためのプラットフォームSandwich Inc.を主催しながら国際的な活動を展開しています。また、コンテンポラリー・ダンスなど他ジャンルのクリエイターとのコラボレーションも数多く行っています。
名和は、セル(細胞・粒)という概念を通じて、細胞や生物における感覚のインターフェイスである皮膚と彫刻の表皮を同次元で捉え、彫刻の定義を柔軟に解釈することで表現の幅を広げてきました。2000年代初頭には、インターネットを介して収集したオブジェクトを透明の球体で覆った「PixCell」シリーズを発表します。以降、重力に沿ってキャンパス上に顔料が滴ることで描かれた絵画「Direction」、シリコーンオイルが天井から多数の糸状になって常時落下することで重力の様態を見せる「Force」、液体の表面に気泡を発生させる「Biomatrix」、泡そのものが巨大なボリュームに成長する「Foam」、3Dモデリングシステムを用いた彫刻「Trans」など、様々な作品群を発表してきました。またアートバビリオン《洸庭》を設計し、ベルギー・フランス人の振付家・ダンサーのダミアン・シャレとの協働によるパフォーマンス作品三部作《VESSEL》、《Mist》、《Planet(wanderer)》を発表しています。
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YOO SEUNGHO ユ・スンホ 1974年、大韓民国忠清南道舒川郡生まれ、ソウル在住。
多多
ユ・スンホは、1990年代後半から活動を開始し、2000年代からは国際的に展示を行ってきました。インクを使って描かれた作品は一見すると山水画のようですが、近づいて見るとその景色は小さな文字の集積であることが分かり、驚きを与えます。ユの作品は「テキスト・ペインティング」として「書くこと」と「描くこと」の関連性に焦点を当てており、その作品は言葉であると同時にイメージでもあるのです。それらの小さな文字や言葉の多くは、それ自体では意味をなさない擬態語や擬音語であるが故に、却って何らかの様態や動作を推測させ、聴覚にも訴えかけることで観客の想像力を喚起します。また、インクの濃淡を用いて書かれた文字の反復は、スプレーを用いて自分の名前や記号を様々なところに記していくグラフィティや、同じ動作の反復を強いる修行をも想起させます。そこには、崇高で美しい伝統的な山水画をグラフィティや落書きと交配させ、ユーモアを付け加えることで、現代的なものとして蘇らせる目論見があるようです。
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YANAGI MIWA やなぎみわ 1967年、兵庫県生まれ、京都府在住。
The Three Fates
やなぎみわは、1990年代より活動を開始し、写真、インスタレーション、パフォーマンス、演劇、機械を用いた自動演劇作品など多様な表現手法で国際的に活躍しています。「エレベーター・ガール」(1994-1998)、「マイ・グランドマザーズ」(2000年-)、「フェアリーテール」(2004-2006年)などの写真シリーズでは、社会における女性の立場やジェンダーについて批判的な考察を促してきました。2011年からは日本の近代史を主題とした演劇を制作し始め、大正時代の新興芸術運動を描いた「1924」の三部作「Tokyo-Berlin」「海戦」「人間機会」(2011-2012)、明治後期のパナラマ館を舞台にした「パノラマ」(2012年)、第二次世界対戦中の米軍放送を主題とした「ゼロ・アワー東京ローズ最後のテープ」(2013年)を、国内各所、さらにはアメリカ、カナダでも公演しました。2014年にはトレーナーを劇場にした「日輪の翼」(原作=中上健次)の野外公演を開催し、2015年からは「ステージトレーラープロジェクト」で日本各地を巡回しています。2016年からは神話を主題にした写真シリーズ「女神と男神が桃の木の下で別れる」を制作し、2019年には機会による自動演劇作品を発表。2021年には、胡蝶蘭を主題に、台湾オペラと呼ばれる歌仔戯の劇団とのコラボ作品「阿婆蘭(アボーラン)」を台湾で発表しました。
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ODANI MOTOHIKO 小谷元彦 1972年、京都府生まれ、東京都在住。
ホロウ:全ての人の脳内を駆け抜けるもの
小谷元彦は1990年代後半より活動を開始し、古典的な木彫、髪の毛や毛皮など様々な素材を用いた彫刻、CG・3D・機械を使用した彫刻、写真、映像、インスタレーションまで多様な表現を用いて、国際的に活躍しています。京都市内で生まれ育ち、神社仏閣の幽玄な建築空間や仏像、そして特撮などにも慣れ親しんできた小谷にとって作品を制作することは、独自の発展を遂げた「日本の彫刻」について多角的に考察することでもあります。また小谷は、突然失われた手足がまだ存在しているように感じる現象の「ファントム・リム(幻影痛)」が重要なテーマであり、「ものの物質性を『かたち』として表現する彫刻は、同時に『かたち』の向こうにある『空洞』や『裏側』を捉えようとする試みでもある」と語ります。それ故に小谷が、2017年の心筋梗塞によって自身の心臓半分が壊死する体験から得た「失われた身体と残された身体」という主題も含めて、存在と非存在、覚醒と睡眠、人間と非-人間といった中間領域を探究することは、「ファントム・リム」、そして彫刻を探究することと同義なのだといえます。
UBARTH
なんか想像力を掻き立てるとてもインパクトのある作品でした。
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UBARTH
本日も最後までご愛読ありがとうございました。あなたの幸せ願っています。
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