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目次
ごあいさつ
二つの世界大戦に挟まれた1920年のパリ。それは様々な才能がジャンルを超えて交錯し、まばゆいばかりの成果を生み出した、奇跡のような空間でした。とりわけ女性たちの活躍には、眼を見張るものがありました。自由な時代を生きる彼女たちの代表ともいえる存在が、マリー・ローランサンとガブリエル(ココ)・シャネルの二人でした。女性的な美をひたすら追求したローランサンと、男性ファッションやスポーツウェアなどのアイデアに取り組み、それまでの女性ファッションを大胆に改革したシャネル。この展覧会では美術とファッションの境界を交差するように生きた対照的な二人の活躍を軸に、その周囲を彩った人々との関係にも触れながら、モダンとクラシックが絶妙に融合する両大戦間パリの芸術界を俯瞰します。それから約100年。メゾン・シャネルのアーティスティック・ディレクター、ラガーフェルドは、ローランサンの色彩に着想を得てコレクションを発表しました。淡く夢見るようなローランサンの色彩を得たそのドレスは、シンプルかつモダンなイメージのシャネルの世界を、より豊かに変貌させてみせたのです。 最後に本展開催にあたり貴重な作品をご貸与いただいたマリーローランサン美術館をはじめとする国内外の数多くの機関や個人所蔵家の方々、展覧会実現にあたり数々のご指導、ご助言をいただいたシャネル本社や関係各位に心からのお礼を申し上げます。 主催者
Marie LAURENCIN et la mode
Bunkamura ザ・ミュージアム
2023 2.14-4.9
マリー・ローランサン
パリ生まれ。アカデミー・アンベールで絵画を学ぶ。ピカソやブラックとの交流から、初期にはキュビスムの交流から、初期にはキュビスムの影響色濃い作風であったが、後に、パステル調の淡い色調と優美なフォルムが特徴の女性的な作風に。エコール・ド・パリの中でもひときわ輝く存在となる。詩人アポリネールとの大恋愛でも知られる。
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第1章 狂騒の時代のパリ
奇しくも1883年という同じ年に生まれたマリー・ローランサンとココ・シャネル。美術とファッションという異なる分野に身を置きながら、互いに独自のスタイルを貫いた二人は、戦後1920年代、生きる喜びを謳歌した「狂騒の時代(レザネ・フォル)」のパリを象徴する存在でした。社交界の女性たちの「女性性(フェミニティ)」を引き出す独特な色彩の肖像画で、瞬く間に人気画家にかけあがったローランサン。一方、シャネルの服を身にまとうことは、一つのステータス・シンボルとなっていきました。
第2章 越境するアート
1920年代のパリースペインのピカソ、アメリカのマン・レイなど、国境を超えて多くの若者がパリに集まり才能を開花させた時代。故国の伝統とパリの国際性が融合し、独自でありながら普遍性を備えた表現が可能となりました。 そして美術、音楽、文学、ファッションなど、別々の発展を遂げてきた表現が垣根を越えて手を取り合い、「バレエ・リュス」などに代表される新たな総合的芸術を生み出します。ローランサンとシャネルも、その活動に参加することで表現の幅を広げ、新たな人脈を形成する糸口をつかみました。ジャン・コクトーなど、前衛と社交界を繋ぐ人物の存在も鍵となります。工芸や染色、ファッションなどの装飾美術が芸術的地位を高めたのもこの頃のこと。ローランサンもまたこの分野におけるキーパーソンでした。
第3章 モダンガールの変遷
第一次世界大戦を契機とした女性の社会進出、都市に花開いた大衆文化、消費文化を背景に、短髪のヘアスタイルにストレートなシルエットのドレスをまとった女性が街を闊歩しました。彼女たちは”モダンガール”と呼ばれ、世界的な現象となります。 ホール・ホワレによるコルセットからの解放、ココ・シャネルのリトル・ブラック・ドレスの発表を経て、さらにマドレーヌ・ヴィネオを始め多くのデザイナーたちが競ってモダン・ファッションに取り組み、女性服は大きく変化を遂げたのである。
EPILOGUE:Fashion Reborn
エピローグ:蘇るモード
「モードは死ななければならない」とは、シャネルの有名な言葉の一つである。時代の感性を最も敏感に反映するモードは、逆にその時代が過ぎ去れば、速やかに忘れ去られる運命にあるというモードの本質を語った言葉だが、一方で一度死んだモードが形を変えて再生することもある。 1983年から36年間の長きにわたりシャネルのアーティスティック・ディレクターとなったカール・ラガーフェルドは、ローランサンの色彩に着想を得て数回にわたりコレクションを発表したが、特に2011年と2012年の2回は鮮明であった。淡いピンク、光沢のあるグレー、全体を引き締めるかすかな黒、といったフォレスの色使いはまさにローランサンの夢見るような絵画の世界を彷彿とさせる。機能的でシンプルかつモダンというイメージが強いシャネルの世界を、装飾的にして華やか、そしてクラシカルなローランサンの絵画を手がかりに変貌させ、時代を切り開くモードを作り出して見せるラガーフェルド。ともに1929年代のパリを象徴する存在でありながら、互いに距離を置いていたローランサンとシャネルの二人が、百年近い時を経て新たなモードの中で見事に融合する。それは、歴史は常に過去を参照しながら自らを更新していく、という事実に改めて気付かせ、その時「レゼネ・フォル」のパリは、さらに生き生きとその姿を我々の前に現すのである。 ポール・ラモン著 『シャネル人生を語る』2007年から引用
UBARTH
ココから撮影可能です
黒のバックにマリーローランサンのピンクの色彩が品を感じさせるのー
ご意見番
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本日も最後までご愛読ありがとうございました。
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