展示会について
ミケル・バルセロ(1957- )は、長きにわたり欧州を中心に精力的な活動をおこない、現代芸術を牽引する美術家の一人として評価されてきました。バルセロの作品において、海と大地、動植物、歴史、宗教、肖像といったテーマは大きな位置を占めています。さまざまな素材や物質との格闘を経てもたらされるその原初的なイメージは、人間の生の営み、その根源への問いを投げかけるとともに、絵画のいまだ知られぬ力を語りかけてやみません。 1982年、ドイツ・カッセルで開催された国際美術展「ドクメンタ7」で鮮烈なデビューを果たして以来、バルセロは生地スペイン・マジョルカ島をはじめ、パリ、アフリカのマリ、そしてヒマラヤなど世界各地に活動の場をひろげ、各地の歴史、風土と対峙するなかで制作をつづけてきました。その活動は、絵画を中心に、彫刻、陶芸、パフォーマンスなど領域を越えてひろがり、近年ではマジョルカ島のパルマ大聖堂の内部装飾や、スイス・ジュネーブの国連欧州本部人権理事会の大会議場天井画など、壮大な建築的プロジェクトにも結実しています。 本展は、日本初の美術館での個展として、バルセロの初期から現在にいたる活動を、巨大なスケールをもつ絵画作品を中心に、彫刻、陶芸、映像などを加えた約90点で紹介します。
展示会概要
- 会期 2022年1月13日(木)〜2022年3月25日(金)
- 会場 東京オペラシティアートギャラリー
- 住所 東京都新宿区西新宿3−20ー2
- 時間 11:00〜19:00(最終入場時間 18:30)
- 休館日 月曜日 祝日の場合翌火曜日 2月13日(日・全館休館日)
- 観覧料 一般1,400円 大・高校生1,000円 中学生以下無料
- TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
Miquel Barcelo ミケル・バルセロ
ミケル・バルセロは、スペイン・カタルーニャ出身の画家・彫刻家。1957年、マヨルカ島のフェラニチ村に生まれ、故郷の島にあるパルマ装飾芸術学校で学ぶ。当初は抽象表現主義に傾倒し、より具象的な絵画作品制作へと転向。1980年代には、イヴォン・ランベールやレオ・カステリなど大手ギャラリーや、ボルドー現代美術館(CAPC)をはじめとする各地美術館からの支持を得て、国際舞台へと活動の場を広げる。1988年からは繰り返しアフリカを訪れ、彫刻やセラミックの基礎を学びながらインスピレーションの源や表現技術を新たにし、数多くのクロッキーを制作している。1995年以降、実に多数の作品を発表。パリにアトリエを構え、1996年にはパリ市立近代美術館にて展覧会を開催。2004年にはルーヴル美術館にて水彩画展を行っている。
2003年にはアストゥリアス公フェリペ王太子賞を受賞。パルマ大聖堂の祭壇壁画を担当し、スペイン国王フアン・カルロス1世によって作品除幕式がとり行われた。スイス・ジュネーヴのパレ・デ・ナシオン(国際連合事務局)の丸天井装飾も彼の作品である。ベネチア・ビエンナーレではスペイン代表に選出され、2010年にアヴィニヨンおよびパリで開催された展覧会「Terra Mare」は大きな賞賛を得ている。常に柔軟な感性を備え、変幻自在なアーティストで、濃厚な彩色を主体とした、現実的でありつつも幻想的な世界を表現する。多種多様なマテリアルやカンバスを用い、絵画作品を凹凸感のある平面彫刻へと変化させる。動物描写や先史時代の洞窟壁画に強い関心を持ち、フランス・ショーヴェ洞窟の学術委員会メンバーに名を連ねている。
2012年ムートンのフレスコ画は、近年のインスピレーションを受けた作品といえる。シャトー伝統のエンブレムを現代風に蘇らせる。向かい合わせにシンメトリーの構図で描かれた2頭の牡羊は、グラン・ヴァン特有のバランスとハーモニーを想起させる。自然の恵みであると同時に、造り手の技量が試される匠の技そのものである。
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